デスクワークメインの彼に贈りたい 疲れにくいキーボード4選
前回「デザイン重視」でタイプライター風キーボードを紹介しましたが、今回は「機能重視」、中でも「疲れにくさ」を重視したキーボードを紹介します。一日中文章やプログラムを書く人にとって、キーボードはメインの入力デバイスなので、これが「疲れにくいかどうか」の影響が非常に大きいことは想像に難くないことと思います。自分用、あるいは彼やご主人用に、疲れにくいキーボードを選ぶ際のポイントも、システムエンジニア目線で紹介します。ちなみにデスクワークの中でもデザインや設計でCADをメインに使用される方は、マウスの影響が大きいのでそちらの検討をおすすめします。
「英語キーボード」と「日本語キーボード」の違い
「英語キーボード」と「日本語キーボード」の違いはかなの刻印の有無以外にも、記号の位置の違いや日本語用キーの有無の違い、キーの数の差によるEnterキーの形状の違いがあります。文章を入力する際は記号を使用することはあまりないかも知れませんが、プログラムを書く時はどのプログラム言語の場合も記号を多用するので、位置に慣れるまでがストレスになりますし、別のキーボードを使用する際に間違える可能性も生まれます。よく使うEnterキーは日本語キーボードでは縦長なので、英語キーボードではかなり押しにくく感じるのではないでしょうか。ですので、現在日本語キーボードをお使いの場合はやはり日本語キーボードをおすすめします。よく確認してから購入しましょう。
キースイッチで選ぶ「ハイエンド」?キーボードの形状で選ぶ「エルゴノミクス」?
疲れにくいキーボードを選ぶ際には大きく分けて二つの観点があります。それが「キースイッチ」と「キーボードの形状」です。キーを押した時にその入力を伝えるスイッチ部分が、押し続けても疲れにくくなっている「ハイエンドキーボード」と呼ばれるタイプを選ぶか、指や腕に負担のかからない自然な形状にすることで疲れにくい「エルゴノミクスキーボード」と呼ばれるタイプを選ぶかのどちらかになります。「疲れにくい形状のキーボードに疲れにくいキーがついてたらベスト」ですが…残念ながらこれらを両立したキーボードはほとんどありません。特殊なキーを特殊な形状に使うのは、難しいとはいえ決して不可能ではないとは思うのですが、「誰も購入しないくらい高額なキーボード」になってしまうからなのか、それぞれの技術者のプライドなのか…。
おすすめのハイエンドキーボードおすすめのエルゴノミクスキーボード
ハイエンドキーボードの特徴
特殊なキースイッチを採用した「ハイエンドキーボード」と呼ばれるキーボードは、日本では東プレのREALFORCEシリーズとFILCO(日本での販売はダイヤテック)のMajestouchシリーズが代表的です。いずれもキー荷重(キーを押すのに必要な力)が選べて疲れにくいだけでなく、耐久性や正確性も高く評価されています。キーの正確性ってどうゆうこと?など、詳しい説明は東プレのキーボードの特徴で紹介されています。一般的なキーボードのペコペコした打鍵感も疲れの原因になると推測されるので、荷重特性の違いも「疲れにくさ」の秘密と言えそうです。
キーボードの特徴キー荷重とミスタッチの関係
一般的にはキー荷重が小さいほど疲れにくいけど、ミスタッチが多くなると言われています。疲れにくくなってもミスタッチが増えてしまっては業務効率に関わりますが、キーの正確性が上がり、これまで防げなかった二重入力や入力し損ないが多少防げるようになる分は相殺できるので、荷重の小さいキーボードに変えたからといって、深刻なミスタッチの増加にはつながらないと思いますよ。
ハイエンドキーボードの恩恵を受けやすい人は?
筆者は職業上色々な人のタイピングを見る機会が多いのですが、タイピングは静かに抑えるように押す人と、音を立てて叩くように押す人にはっきり分かれます。女性は前者が多いですが、筆者はどちらかというと後者です。長年ピアノをやっていたのでその影響かなと…(言い訳)。集中したり何か思いついて一気に書きたい時はつい指に力が入ります。中にはキーボードが壊れるんじゃないか、くらいの力で「パン!」とEnterキーを叩く人も…。そうゆうタイプの人は現状でも必要以上の力を入れてタイピングしているので、そのクセがある限りはあまりハイエンドキーボードの恩恵を受けられないのでは、と思います。プレゼントで「ハイエンド」か「エルゴノミクス」か迷ったら、その人の打鍵音に耳を傾けてみるといいかも知れません。
ハイエンドキーボード選びのポイントと注意点
ハイエンドキーボードはぱっと見は一般的なキーボードとさほど変わらないので、会社で自分用キーボードが目立ちすぎるのに抵抗がある方は、エルゴノミクスキーボードよりこちらが使いやすいでしょう。日本語・英語、キー荷重(FILCOの場合は「軸」)の種類、テンキーあり・なし、かな印字あり・なし、などが細かく選べるので、選び間違えないように気をつけましょう。プログラマーにはテンキーなしのタイプが人気とのこと。確かにプログラムを書く時テンキーはまったく使いません。「大は小を兼ねる」とは言いますが、デスクの広さも限られているのでテンキー不要の職種ならテンキーなしをおすすめします。お金や測定データを扱う職種の方はテンキーは必須と思われます。ちなみにFILCOのラインナップにはハイエンドテンキーもあります。テンキーをセパレートにすれば、必要な時だけ使ったり、自由にレイアウトできる、というメリットもありますよ。
エルゴノミクスキーボードの特徴
試しに机の上に両手をのせてみてください。両手は「ハ」の字の角度で、少し離れていませんか?関節の向きや体の幅を考えると、この位置が最も体への負担が少ないのです。他にも手の指の長さや向きなども考慮した、エルゴノミクス(人間工学)に基づいた設計により特殊な形状をしているのがエルゴノミクスキーボードの特徴(というか定義)です。
エルゴノミクスキーボードが向いている人は?
エルゴノミクスキーボードは一般的なホームポジション(FキーとJキー)でのタイピングを基準に設計されています。左右に分かれたタイプの場合、一般的には左手でタイプするキーを右手でタイプする人には、とんでもなく使いにくいキーボードになってしまいます。ブラインドタッチができる人の多くは、誰かに教えてもらうでもなく、自分で身につけたのではないでしょうか。筆者は入社当時、会社の先輩に貰ったタイピング練習ソフトを使って身につけました。自己流の方も、ホームポジションさえ合っていればほぼ大丈夫と思いますが、唯一、FキーとJキーから等距離にあるBキーは左手で入力する必要があるので確認してみてください。不安な場合も左右がつながったタイプのエルゴノミクスキーボードなら安心です。
ハイエンドキーボード
東プレ REALFORCE 108UBK / 変荷重キーボード / 静電容量無接点 / 108キー / USB SJ08B0
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指の力に合わせて荷重調整された変荷重がおすすめ
親指の力と小指の力って結構違いますよね。REALFORCEの変荷重タイプは親指で押すキーは重く小指で押すキーは軽く作られています。一般的なキーボードの荷重が50g程度らしいのですが、変荷重タイプで使用されているキー荷重は30g,45g,50gの3種類。非力な小指も無理せず押せて、他のキーも軽すぎず、重すぎず。せっかく高級キーボードの代名詞とも呼ばれる東プレのキーボードを選ぶなら、変荷重タイプがおすすめです。リンクの商品はかな印字なしの日本語キーボードです。
FILCO Majestouch2 S〔静音モデル〕 キーボード 108日本語カナありテンキー機能付き Cherry MX ピンク軸 USB/PS2両対応 ブラック FKBN108MPS/JB2
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FILCOのスイッチはクリック音やキー荷重が選べる
FILCOのスイッチは軸の色によってクリック音やキー荷重が選べます。このクリック音がたまらない、という根強いファンもいるようですが、クリック音がする、ということはその分荷重も大きくなり、疲れにくいキーボード選び、という点ではクリック音はしない方が良いでしょう。また、職場でわざわざクリック音のする私物キーボードを使用したら、周囲のヒンシュクも買うことになります。軸の色ごとの詳しい特徴はメーカーの製品情報をご覧ください。リンクの商品は静音設計のピンク軸です。
FILCO工房モデルなら個性的なデザインも豊富
FILCOのキーボードは形はシンプルですが、FILCO工房モデルならウッド調やカモフラ柄他、様々な色柄を選ぶことができます。漆塗りや総金箔貼り(!)など、特殊なものを選ばなければ、数千円の違いです。在宅で仕事をする方になら、ちょっと変わったデザインを選ぶのもいいかも知れません。
FILCOキーボード工房を見るエルゴノミクスキーボード
マイクロソフト キーボード ワイヤレス/人間工学デザイン Sculpt Ergonomic Keyboard for Business USB Port 5KV-00006
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左右に分かれたエルゴノミクスキーボード
こちらは左右に分かれたタイプのエルゴノミクスキーボード。前述の通り、ホームポジションを基準として、右手・左手のキーの打ち分けが標準的な方に最適なキーボードです。キーストロークは浅めで、キーはノートパソコンに多いパンタグラフ方式です。磁石で取り付けるパームリフトにより、キーボード手前を高めにすることもできます。ワイヤレス接続はBluetoothではなく、無線2.4GHzによるものなので、PC本体のUSBポートに付属の小さなレシーバーを取り付ける必要があります。
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右手・左手のキーの打ち分けが自己流でも大丈夫
こちらは同じマイクロソフトのエルゴノミクスキーボードでも、より標準的なキーボードのレイアウトに近い機種。左右が分かれてはいないので、多少自己流のブラインドタッチで右手・左手のキーの打ち分けが標準的なそれと異なっていても大丈夫です。標準的なキーボードのレイアウトに近いため、劇的な疲れ軽減効果は見込めないとは思いますが、高さ調節可能なパームレストや人差し指位置付近のカーブにより、標準キーボードよりは快適に操作可能です。この機種も無線2.4GHzによるワイヤレスで、右利き用Windowsマウスとセットになっています。
その他の気になるエルゴノミクスキーボード
その他のメジャーなエルゴノミクスキーボードとして、最強のエルゴノミクスキーボードとも呼ばれるアメリカKinesis社のキーボードが挙げられますが、英語配列しかなく、Enterキーの位置などが特殊なので、今回は詳しく紹介しませんでした。気になる方は下記からご覧ください。